1.ケアファームでのハーブ栽培

ケアファームは、野菜、果物、花などいろいろな作物の栽培を通して、施設利用者の役割や生きがいづくり、心身の健康増進を目的としています。

中でもハーブは葉や茎に香りがあり、花の鑑賞もできる上、料理やお茶、アロマオイルや化粧品などにも利用される、身近な植物。栽培は決して難しくなく、プランターでも手軽に育てられるほどです。

そのため、高齢者や障害のある方向けのケアファームでも、取り入れやすい植物です。

2.おすすめハーブの主な利用法

ハーブは種から育てることもできますが、園芸店などで手に入る苗から育てるのが一番簡単でしょう。

以下は、苗が入手しやすい主なハーブと、その利用法です。

アーティチョーク・・・花の鑑賞、ドライフラワー、食用
イタリアンパセリ・・・一般的なパセリ同様に、サラダやドレッシング
オレガノ・・・ピザなどイタリアン
カモミール・・・お茶、アロマオイル、化粧品
ステビア・・・お茶、お菓子などの甘味
セージ・・・ソーセージなどの詰め物、肉料理
センテッドゼラニウム・・・花の鑑賞、アロマオイル、化粧品
タイム・・・肉料理
タラゴン・・・トマト料理、ドレッシング、ソース、ビネガー
チコリ・・・サラダ、根をコーヒー
チャイブ・・・サラダ、スープ、ビネガー
ディル・・・肉・魚料理、ビネガー、オイル
ナスタチウム・・・サラダ、ソース
バジル・・・パスタなどイタリア料理、オイル
フェンネル・・・魚料理、スープ、アロマオイル
ベルガモット・・・花の鑑賞、お茶
ボリジ・・・花の鑑賞、料理の飾り
マジョラム・・・肉料理、お茶
ミント・・・料理、お茶、アロマオイル、化粧品
ラベンダー・・・花の鑑賞、お茶、アロマオイル、化粧品
レモングラス・・・料理、お茶
レモンバーム・・・お茶、化粧品
ローズマリー・・・肉料理、化粧品

3.ハーブ栽培・目的

◇利用者のケア・リラクゼーション

香りや花を楽しめるハーブは、葉や茎、花に触れるだけでもリラックス効果が期待できます。

植物の世話をするため外に出て季節を感じ、土に触れ、植物の成長を楽しむことが、心の癒しにもつながります。

不安や緊張、落ち込み、不眠など、精神的な不調を抱えることも多い高齢者にとって、ハーブは育てやすさに加え、メンタル面への効果も期待できるでしょう。

アロマオイルを用いたハンドマッサージ、リフレクソロジー、収穫したハーブをネットなどに入れてお風呂に入れる、ハーブバスも香りを楽しめます。

◇利用と商品化

料理利用

ケアファーム内での食事に利用する自給自足のほか、収穫量が多ければスーパー、地域の農産物直売所などへの出荷も可能に。


お茶

収穫後、フレッシュな状態で、または乾燥させてもハーブティーとして楽しめます。

ローズマリーのように枝葉を使用するもの、ミントやカモミール、ラベンダーのように葉や花を使用するものがあります。枝葉の場合、適量を束ねて風通しのよい場所にさかさまに吊るし、乾燥させます。葉や花の場合、洗って水分をふき取り、ざるなどに重ならないように並べて乾燥させます。

ジャムやお菓子などの加工品に比べ、手間がかからないのもメリットです。


雑貨

乾燥させてドライフラワー、ポプリ、サシェなどの雑貨にも利用できます。手指を使う雑貨作りが、リハビリの一環になることも考えられます。


アロマオイル

アロマオイルは熱した蒸気をハーブにあて、芳香成分を含んだ蒸気を発生させ、冷やして液体になったものからオイルを抽出します。

水蒸気蒸留法でアロマオイルを作るための専用の器具がありますが、この方法でアロマオイルをとるには大量のハーブが必要です。

または、キャリアオイル(エッセンシャルオイルを希釈するオイル。ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなど)に直接漬け込んだものを湯煎し、香りをオイルに移す方法もあります。


美容

ハーブ、ミネラルウォーター、グリセリンを用意して、化粧水を作ることができますが、防腐剤を使わないのであくまでも使い切り。ケアファーム内で個人的に使う場合はこれでも十分です。

ただし、個人的な使用以外の化粧品の製造は、薬事法により、製造業の許可を受けた者でなければできません。

商品化する場合は、化粧品製造販売業や、化粧品製造業(一般)の許可申請が必要です。さらに、薬剤師資格などが必要となる化粧品製造業責任技術者が必要となり、商品化までにはクリアすべきハードルがあります。


ハンドクリーム、石鹸、入浴剤なども化粧品に含まれます。

4.販売ルート

全国規模の販売というよりは、地域密着の小売店や販売所へ卸したり、イベントなどの際に販売するのが現実的です。

ネット販売も需要が期待でき、ECサイトの構築も必要でしょう。

その土地のケアファームの特産品としてブランド化し、ハーブやお茶、ハーブクッキーなどのスイーツも、商品として考えられます。

ただし、ハーブ化粧品等を販売する際は、前述のように化粧品製造販売業の許可申請が必要です。

5.ハーブ利用の注意点

ハーブは自然由来の体にやさしいものというイメージですが、海外では医療行為でアロマオイルの使用が認められることもあるほど、その効能が強く表れる場合もあります。

副作用が出たり、人によって禁忌ハーブもあるため、使用する際には注意が必要です。ハーブ成分を含むサプリメントも同様です。

◇ハーブ利用で注意が必要なケース

妊婦

子宮を収縮させる作用があるもの、子宮からの出血やけいれんを引き起こす成分が含まれるハーブは、妊娠中の人は使えません。

妊娠中の主な禁忌ハーブ
ラベンダー、カモミール、ハト麦、ジャスミン、レモングラス、セージ、ラズベリーリーフ、ペパーミントなど

持病のある人


ぜんそく、高血圧、糖尿病、心臓病、腎臓疾患など、持病のある人は禁忌ハーブがあります。医薬品とあわせて飲むと副作用やアレルギーを起こしたり、飲んでいる薬の効き目を妨げるものもあるので、注意が必要です。

注意が必要な主なハーブ
セントジョンズワート、カモミール、エキナセア、カレンデュラなどキク科のハーブ

ケアファームでは、持病があり、薬を飲む高齢者も多いでしょう。何らかの形でハーブを摂取する場合、医師や薬剤師など専門家に相談が欠かせません。

アレルギー体質の人も注意が必要です。

ハーブやアロマオイルは、日本ではリラクゼーション目的で使用されますが、海外では医療行為として認められる場合もあります。使用の際には専門家に相談する必要があります。

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