「君がいる未来」編集長の上村です。

介護施設経営のコンサルタント業務に携わっている僕が、今注目しているのは、「ケアファーム(農業×介護施設)」です。

介護施設のすぐ隣に農地があれば、入居者様と一緒にいろんな取り組みができるんじゃないか。そんなことを考え始めています。

この「農福連携」の先進国はオランダ。農業が認知症のケアやリハビリに効果があるとして、ケアファームが活用されています。農家にとっては多角経営という意味合いもあります。

けれど、僕が考えるこの取り組みの最大の目的は、入居者様に喜んでもらうこと。

そして入居者様はもちろん、介護施設に勤務する職員も喜んでくれるはず。

みんなが喜ぶなら、ますますやる気になるわけです。

僕が尊敬する先輩・吉澤キヨさんからは、こんなアドバイスをいただきました。

「農業と介護施設の連携は、もっと肩の力を抜いて取り組みなさい」

本格的な農業はなかなか難しいので、家庭菜園レベルのFarming(ファーミング)という軽い感じが良いのでは? と。

このファーミングは、介護施設、障がい者施設、メンタルヘルスケア、どれとも組み合わせられると思います。ケアすることに加え、楽しむための農園や菜園というイメージ。入居者様にも職員さんにも負担にならない、気楽で楽しい内容にできたらいいですよね。

◆「Farming(農業)×介護施設経営を!」を実現するにあたって守りたい約束事

そもそも「Farming(農業)×介護施設経営を!」の事業計画は、CS(お客様の満足)やES(働く人の満足)を中心に考えたものです。

その上で僕が自分に課した条件は、次のようなものです。

◇「入居者の“食べる”喜びをどこまでも追求する」こと

自分たちで食べるものはできる限り自分で作る。これが僕の中での正解です。
ただし、専門家の意見にも耳を傾けながら、実現可能な内容ですすめます。

◇ひろーい土地で運営する

敷地1000坪くらいの規模を想定しています。具体的には60%を農地、40%を施設用地に利用するイメージです。

農業では野菜づくりだけではなく、ゆったりと過ごせる仕組みやスペースを考えていきます。たとえば専門家の力を借りながら、バラ園やハーブガーデンづくりにもチャレンジしたいですね。

わずか19床の介護施設をつくるにあたって、大げさといえば大げさなんですが、僕自身、自然が好きなので、その魅力をみんなに届けたいという思いがあふれてしまうのです。

◇入居費用をどこまでも低価格化する

僕が思う介護施設経営は、入居費用で利益を出すのではなく、サービス提供で利益を出すというもの。その利益も、ごくふつうの生活ができる程度でいい、というスタンスです。

だから、関東圏で実現した“食事を付けて9.5万円”という価格よりもさらに安い、5万円台~8万円にチャレンジしてみたいと考えるのです。

◇働く人の働きやすさの追求

「働きやすさってなんだろう?」と考えています。
自分だったら、という視点で考えてみると、適度に休みがあって(気兼ねなく休めて)、人間関係が良くて、忙しさはボチボチ。で、給与は“並み”? かなと。

効率重視のオペレーションは、もう必要ないんじゃないか、と思うわけです。

◆効率を追求しない、利益を追求しない介護施設経営があってもいい!?

介護施設経営って、上手にやると利益率25%以上もふつうに取れます。19床レベルの小さな介護施設でも、年商1億円前後を目標にできるし、年間2500万円ほどの営業利益も見込むことができるのです。

でも……、営業利益20%超の実現は、さまざまなコストをカットし、太陽光で売電したり、ITを駆使して徹底的に無駄を省く、ということあっての達成です。
マクドナルドのようなオペレーション化、効果的な人員配置、無駄な経費を発生させない、という経営努力なのです。

たしかに株式会社のミッションは、収益性の追求を是とするわけですが……。

僕はそれだけでは、経営者としての喜びが少ないのです。

だから今回のチャレンジで、収益の60%までを顧客満足やスタッフ満足の追求に投資してみたい。そう考えています。

顧客満足の追求に投資する

農園を併設するのは、将来発生するであろう収益を、あらかじめ投資することでもあります。

その上での目標は、入居者には“毎日笑いが止まらないくらいの生活”を送っていただきたいということ。そして、入居者様をサポートするスタッフも満足する環境を提供する。
僕にできることといえば、そういうことです。

大切にしたいのは、毎日自然との交流があること。一人一人に役割があること。充実した疲れがあること。そして、ご利用者様には今まで以上に生きがいがある日々。
それを実現したいのです。

目指すのは、“自分の親を入居させられる施設”ですよね!
内装、外装の豪華さよりも、関係者の人柄や優しさにあふれている環境づくりを実現したいのです。

まずは神奈川、そして千葉、埼玉、山梨、長野にも!

「Farming(農業)×介護施設経営」をすすめるエリアを、じっくりと探し始めています。
農地併設の介護施設という方向性が決まりましたので、さらに欲を言うなら果物のおいしいエリアがいい(笑)。
世界各国からウーファー(※1)を招いてもいいし、農業体験したい方のためのクラインガルテン(※2)も用意したいですね。

※1「ウーフとは?」
ウーフ (WWOOF:World-Wide Opportunities on Organic Farms 有機農場で働きたい
人の意)とは、農業体験と交流のNGO。 ウーフにおいて手伝いをする側の人々はウーファー(WWOOFer)と呼ばれる。

※2「クラインガルテンとは?」
クラインガルテンは、ドイツで盛んな200年の歴史をもつ農地の賃借制度のこと。日本語に訳すると「小さな庭」となり、「市民農園」もしくは「滞在型市民農園」とも言われる。

クラインガルテンの敷地内には“ラウベ”と呼ばれる家屋(簡易宿泊施設)があり、農園では家庭菜園やガーデニングを行うことができます。

日本全国のたくさんの農家とつながりたい

今回の取り組みは、日本全国のあらゆるエリアで推進が可能であると考えています。

人手が足りずに放棄された農地を、介護の持つ要素で有効に活用して変化させることができるとも思うのです。

たとえば神奈川なら、バラ農家やハーブガーデンに併設するのもいいでしょう。

山梨ならば、「桃づくり×介護施設経営」や「ぶどうづくり×介護施設経営」。
群馬ならば、リンゴづくり、桃づくり、ブルーベリーづくりと介護施設経営。
長野はもちろん、リンゴづくり。
埼玉では梨や栗、梅に柿、ユズ、プラム、みかん、イチゴ、ブルーベリーづくりもありですね。

農地は5~10年、20年契約でも大丈夫。農地の広さは最低でも5反(1500坪)はほしいですね。広ければ広いほどいいと思っています。

「farming(農業)×介護施設経営」で解決できること

今回の取り組みは、さまざまな新しい介護の形を見つけることができると信じています。

介護度が軽い人向けにも、介護施設経営が有効であること。
介護施設は「役割がある場所」であること。
介護施設を「喜びがあふれる場所」にする取り組み。
夢のような話かもしれませんが、介護施設で作った野菜や果物がめちゃくちゃおいしかったり。
介護施設が運営する農業で利益が出始めたりと、たくさんの試みを考えられるでしょう。

産業分野にもあまたのメリットが提供できるように思います。
耕作放棄地増加の問題に、歯止めをかけることができるかもしれません。
起農者を支援する取り組みにもつながるはずです。

まだまだ妄想の範囲を越えませんが……、この取り組みは今後、日本中に広がる可能性がありますよね。

 Special thanks

私が今回のような取り組みをするにあたり、さまざまな方にたくさんの教えをいただきまし
た。
心より感謝申し上げます。

ファーム&ガーデン白岡様

タケイファーム

トニータケウチ(TONYFARM)

株式会社 夢のカタチ

きいろいおうちファーム

神奈川子供ファンド


上村 隆幸(かみむら たかゆき)
インキュベクス ファウンダー(創業者)

1965年神奈川県生まれ。1998年、起業コンサルタント業を開始し、以来3000社を超える起業支援を手がける。日本の医療が在宅へと大きく変化することに従い、「子供からお年寄りまで」すべての生活者が安心と幸福を実感できる地域社会づくりの必要性から、「ケアーズ訪問看護ステーション開業運営支援」を開始。その支援先は民間企業から介護事業者まで全国800社以上に広がる。また「介護の王国」では食費を含めた¥95.000を関東圏で実現する。

青山学院大学 大学院 MBA
産業技術大学院大学(AIIT)創造技術専攻 事業アーキテクチャ(修士)
新極真空手 木元道場所属 初段


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